現在当館のロビーに展示してあります書です。
当館の近くに住んでいられる書家の先生が書いた物です。
先生曰く「この詩を読んでから自分の子どもにこっちから声をかけるようになりました」
と言っておられましたが、私も「グッと」こみ上げるものを感じます。
子どもが待っています
あなたの一言を
十月十日待っていた。
病院で君を待ちながら
生来れて初めて神に祈った。
泣き声を聞いたとき
ぼくは新しく生まれかわったような気がした。
「パパ」と呼ばれるのを待っていた。
初めてパパと言われたとき
ぼくは自分の耳を疑った。
無愛想なぼくの顔が一日中笑顔になっていた。
一人で歩くのを待っていた。
会社から帰れば「パパ」と走ってくる君を抱くと
すべての疲れが飛んでいく気がした。
君が入学する日を指折り数えて待っていた。
入学式の前日ぼくも君のように
わくわくして眠れなかった。
ずっと待っていた君なのに
いつしかぼくたちは
よそよそしくなってしまった。
喧嘩をしたわけでもないのに・・・
ぼくから手を差し出そう。
ぼくはお父さんなのだから。